上海でごはんを食べようとすると、まず店の多さに驚きます。同じ通りに何十軒も並んでいて、そのどれもがそれなりに人が入っている。ガイドやまとめ記事を開いても「おすすめ10選」ばかりで、行ってみたら閉店していた、ということも珍しくありません。せっかくの一食を外したくないのに、何を基準に選べばいいのかが分からない。
この記事では、店の名前ではなく4つの軸で選ぶ方法を書きます。客の入り方、店員の動き、口コミの読み方、そして時間。この4つを持っていれば、ガイドに載っていないお店に入るときでも、自分で当たりかどうかを判定できるようになります。
私は上海歴20年。これまでに開拓したお店は、だいたい200軒です。いまも外食は週に1回、多いときは2回。当たりも外れも込みで積み上がった判断基準を、そのまま書きました。

点数が高いのに外した、という経験ありませんか。実はけっこうあるんです🐼
お店のリストは、閉店すると価値がなくなります。でも軸は、店が入れ替わっても使えます。行かなくていいお店の見分け方まで、正直に書きました。
① 結論|在住者は「店」で選んでいない。4つの軸で選んでいる
上海でお店を選ぶとき、私は店の名前で選んでいません。見ているのは4つの軸です。
・在住者が見ているのは「どの店か」ではなく「どう見るか」
・軸は4つ。それぞれ使うタイミングが違う
・店の名前は閉店で消えるが、軸は消えない
①-1 20年で約200軒。いまも週1回、多いときは2回
上海に来てから、ずいぶん多くのお店を開拓してきました。友人と行くカジュアルな店から、少しおしゃれな店、会食で使う高級な店まで、ジャンルはひととおりです。いまも外食は週に1回、多いときは週2回。これが20年ずっと続いています。
こう書くと「よく食べていますね」で終わってしまいそうですが、大事なのは回数ではないと思っています。一軒ごとの「入ってみて、当たりだったか外れだったか」が手元に残っている、ということのほうです。当たりも外れも含めて積み上がったものから出てきたのが、これから書く4つの軸です🐼
①-2 旅行者は「店」を探す。在住者は「軸」を見ている
上海のグルメ情報を検索すると、出てくるのはほとんど「おすすめ◯選」です。旅行で食べるのが1〜2食なら、それで十分だと思います。有名なお店に行けば、それ自体が旅の話のネタにもなります。
ただ、週に1回も2回も外食していると、店のリストはだんだん役に立たなくなります。理由は単純で、上海は店の入れ替わりがとても速いからです。日々の変化が大きくて、競争も激しい。そのなかで去年よかった店が今年も同じとは限りませんし、そもそもリストに載っていない店のほうが、街には圧倒的にたくさんあります。
だから在住者は、店そのものではなく「見るべきところ」のほうを持っています。軸さえ持っていれば、ガイドに載っていないお店に入るときでも、自分で当たりかどうかを判定できます。店の名前は閉店すれば消えてしまいますが、軸は消えません。
①-3 この記事が扱う範囲
この記事で書くのは「お店をどう選ぶか」だけです。旅程のなかでどこに立ち寄って何を食べるか、という話は扱いません。そちらはすでに別の記事にまとめてあります。
・在住者は店の名前ではなく、判断の軸を持っている
・軸を持っていれば、載っていない店でも自分で判定できる
・次の章から、その軸をひとつずつ見ていきます
② 軸1 客の入り方を見る|「客が多い店は基本間違いない」
初めてのお店の前に立ったとき、私が最初に見るのは客の入りです。
②-1 最初に見るのは、味でも値段でもなく客の入り
メニューでも値段でも、内装でもありません。まず客の入りを見ます。客が多いお店は、基本的に間違いがありません。これまで、この軸で大きく外したことはほとんどない、というのが実感です。
なぜこれが効くのか。上海は競争が激しくて、お店の淘汰がとても速い街だからだと思っています。おいしくない店、高いだけの店は、放っておいても長く残りません。そのなかで人が入り続けているということは、毎日この街で食べている人たちが、自分のお金を払って選び続けている、ということになります。
ガイドブックの評価は去年の話かもしれませんが、目の前の客の入りは、いま起きていることです。私はこちらのほうを信用しています。
②-2 見ているのは人数より「回っているか」
ただ、ここで見ているのは人数そのものではありません。その店が回っているかどうかです。
同じ「席が埋まっている」でも、次から次に人が入れ替わっている店と、たまたま今その時間だけ埋まっている店では意味が違います。私が見たいのは前者のほうです。何度も選ばれているから回る、という順番だからです。
この見方は、あとで出てくる口コミの読み方(軸3)とも同じ考え方でつながっています。店頭で客の入りを見るのは、それを自分の目で直接やっている、というだけの話です。
逆に、立地も見た目も悪くないのに人がまばらなお店は、その日はいったん見送ることが多いです。「たまたま空いていただけ」の可能性はもちろんありますが、初めての一食で賭けにいく理由もありません。
②-3 入口で衛生面が気になったら、そこで引き返す
ここまで書いておいて逆のことを言いますが、客が入っていても引き返すことがあります。衛生面が気になったときです。
これは基準を言葉にするのが難しくて、「見た瞬間に分かる」としか言えません。厨房まわり、食器、床、においなど、入口から見えている範囲で「ここは無理だな」と思ったら、そこで判断は終わりです。混んでいるかどうかは、もう関係ありません。
ここだけは、他の軸と並列ではなくその手前にある条件として置いています。おいしいかどうかを考えるより前の話だからです。
・最初に見るのは味でも値段でもなく客の入り
・人数そのものより「回っているか」を見る
・ただし衛生面が気になったら、混んでいても引き返す
③ 軸2 店員の動きを見る|注文がひとつ飛ぶ店は、たぶん全部飛ぶ
席についてから注文を終えるまでの数分。ここで見ているのが2つめの軸です。
③-1 席についてから注文までの数分で、だいたい分かる
料理が出てくる前に、その店がどういう店かは、ある程度見えてしまいます。見ているのは店員さんの動きです。
お店選びの失敗というと、つい味のことだと思いがちです。でも実際に「失敗したな」と感じる場面を思い返すと、味だけではありません。値段、接客、衛生、待ち時間。そのどれにもリスクがあって、どれか1つ外れるだけで、その一食は残念なものになります。
このうち接客と待ち時間は、料理を頼む前の数分で先に分かります。だから私は、そこを見ます。
③-2 実際にあったこと:「パクチーを抜いて」が抜かれていない
いちばん分かりやすいのが、注文の取りこぼしです。
中国のお店では、香菜(シャンツァイ/Xiāngcài=パクチー)が苦手な人が「抜いてください」と伝えるのは、ごく普通のやりとりです。私も苦手な人と行くときは必ず伝えます。ところが、伝えたはずなのにしっかり乗って出てくることがあります。

抜いてって言いましたよね……という顔になるやつです。1回だけなら誰にでもありますが、こういうお店は他のところも、だいたい同じでした🐼
これは「うっかり」で片づけていい話にも見えます。でも私の経験では、注文をひとつ落とす店は、料理の出る順番も、追加のお願いも、会計も、どこかで同じように落ちます。ひとつ飛ぶ店は、たぶん全部飛ぶ、という感覚です。
③-3 見ているのは「二つのことを同時にできるか」
もう少し具体的に、私が見ているサインは次の3つです。
① 一度行ったことを忘れている(さっき呼んだのに、来ていないことになっている)
② ひとつの注文にしか対応できない(追加を頼むと、前の注文が止まる)
③ 二つのことを同時に対応できない(別の卓に呼ばれると、こちらの用件が消える)
③がいちばん分かりやすい指標だと思っています。忙しい店ほど、店員さんは常に2つ3つの用件を抱えています。それをさばけているお店は、混んでいても流れが止まりません。逆にさばけないお店は、客が少ない時間帯でも、なぜか待たされます。
この軸は、値段の高い安いとは関係がありません。安いローカルのお店でもきちんと回っているところはありますし、値段が高くても止まってしまうお店はあります。見ているのは価格帯ではなく、動きのほうです。
・失敗の中身は味だけではない。値段・接客・衛生・待ち時間のどれにもリスクがある
・接客と待ち時間は、注文を終えるまでの数分で先に見える
・「二つのことを同時にさばけるか」が、いちばん分かりやすいサイン
④ 軸3 情報の読み方|点数ではなく、写真とコメントの頻度を見る
3つめの軸は、行く前に見る情報の読み方です。
④-1 点数が良くても、行くと全然違うことがある
上海でお店を探すとき、多くの人が使うのが大众点評(ダージョンディエンピン/Dàzhòng diǎnpíng)です。中国版の食べログのようなアプリで、私も20年ずっと使っています。
ただ、正直に書いておきます。点数が良かったのに、行ってみたら全然違った、ということが何度もありました。
口コミサイトには、たまに本当ではない情報も混ざります。点数だけを見て決めると、そこに当たってしまうことがあります。これは大众点評に限った話ではないと思いますが、店の数が多いぶん、上海では当たる確率も上がる、という印象です。
④-2 点数より先に見るのは、写真と口コミの中身
では何を見ているか。写真と、口コミのコメントです。
料理の写真が、いつ撮られたものか。同じ料理の写真ばかりが並んでいないか。コメントが具体的なことを書いているか、それとも同じような短い言葉が並んでいるだけか。数をこなしていると、このあたりで「これは違うな」と見分けがつくようになります。
うまく言葉にしにくい部分もあるのですが、点数という1つの数字より、写真とコメントという中身のほうに情報が残っている、ということだと思っています。点数は操作できても、写真とコメントの積み重ねまでは、そう簡単に作れません。
④-3 コメントの頻度が少ない店は、回っていない
もうひとつ、私がいつも見ているのがコメントの頻度です。
星の数が高くても、口コミが半年前で止まっている店は、いま流行っていないのだろうな、回転数が悪いのだろうな、と考えます。逆に、コメントが最近まで続けて入っているお店は、いまも人が来ています。
これは軸1(客の入り方)とまったく同じ見方です。店の前で客の入りを見るのが「いま」を直接確かめる方法だとすれば、コメントの頻度は、行く前に「いま」を確かめる方法にあたります。
点数=過去の評価の平均/コメントの頻度=いまの人の入り
この2つは別のものを表しています。見るなら後者を先に。
④-4 いちばん確実なのは、詳しい友人からの紹介
ここまで書いておいてなんですが、いちばん確実なのは、食べることが好きな友人に教えてもらうことです。
アプリは便利ですが、その人の好みや、行く目的まで込みで選んでくれるわけではありません。詳しい友人は「あなたが行くなら、この店じゃなくてこっち」と選び直してくれます。振り返ってみて、外れが少なかったのは圧倒的にこちらでした。
上海に来たばかりの方だと、そういう友人がまだいないと思います。その場合は、まずアプリで軸2(店員の動き)が確認できそうなお店に入ってみて、当たりだったところを覚えておく。それを何回か繰り返していくと、自分の中に少しずつリストがたまっていきます。私のお店のリストも、そうやって増えました。
・点数だけで決めると、たまに大きく外す
・見るのは写真と口コミの中身、そしてコメントの頻度(=いまの人の入り)
・いちばん確実なのは、詳しい友人に教えてもらうこと
⑤ 軸4 時間を見る|店は変わる。久しぶりの店には下見がいる
4つめの軸は、時間です。ここだけは、他の3つとは少し性質が違います。
⑤-1 いちばん多い失敗は「前は良かったのに」
軸1から軸3までは、初めてのお店を判定するための軸でした。でも実際にいちばん多い失敗は、初めての店ではありません。一度行って良かったお店に、もう一度行ったときです。
自分が知っている店なので、疑いません。人を連れて行くのも、たいていこういうお店です。そして、そこで外します。
⑤-2 店長や厨房のメンバーが変わると、品質も味もサービスも落ちる
理由ははっきりしていて、お店の中身が入れ替わるからです。
以前はおいしかったのに、店長が代わっていた。厨房のメンバーが入れ替わっていた。それだけで、品質も味もサービスも落ちることが、本当によくあります。看板も内装も同じで、値段も変わっていないのに、出てくるものが違う。
これは店側が手を抜いた、という話ではないと思っています。作る人が変われば味が変わるのは、どこの国でも同じです。ただ上海は人の入れ替わりが早いので、その頻度が高い、ということだと感じています。
⑤-3 だから、久しぶりの店には下見をしてから人を連れて行く
私がやっているのは単純で、久しぶりに行くお店は、必ず一度自分で下見をします。
会食や、日本から来た方をお連れするときは特にそうです。大事な場面で「以前は良かったんですけどね……」と言うことになるのは、いちばん避けたい失敗だからです。ひとりで、あるいは気心の知れた相手と、先に一度行っておく。それだけで、この失敗はほぼ消えます。
面倒に思われるかもしれませんが、軸1から軸3が「いまを見る」ための道具だとすれば、軸4は「自分の記憶を疑う」ための軸です。いちばん更新が遅れているのは、たいてい自分の頭の中の情報だったりします🐼
・いちばん多い失敗は、初めての店ではなく「前は良かった店」
・店長や厨房のメンバーが変わると、品質も味もサービスも落ちる
・久しぶりの店は、人を連れて行く前に自分で下見をする
⑥ 観光客向けと在住者向けの分かれ目|行かなくていい店の見分け方
ここまでは「どう選ぶか」を書いてきました。この章は逆で、選ばない側の話です。
⑥-1 在住者が行かないのは「昔から有名なお店」
上海に長く住んでいる人が、あまり行かないお店には、はっきりした特徴があります。昔から有名なお店です。
ガイドブックにも載っていて、名前を聞けば分かる。旅行で来た方が「せっかくだから」と足を運ぶのは、たいていこの層です。そして在住者は、そこにはあまり行きません。
誤解のないように先に書いておきますが、これは特定のお店を悪く言う話ではありません。この記事では店名を出さずに、性質のほうだけを書きます。
⑥-2 まずいのではない。名前だけで残っている
なぜ行かないのか。まずいから、ではありません。
上海は日々の変化が大きくて、競争もとても激しい街です。お店の淘汰は速く、何年も同じ場所で営業を続けられているというだけで、本当はすごいことだと思います。
ただ、そのなかには名前だけで残っているお店もあります。評判が先にできあがっているので、味やサービスを更新しなくてもお客さんが来てしまう。結果として、味もサービスも一昔前のまま、という傾向が出てきます。
⑥-3 ただし例外があります:小籠包と上海蟹
とはいえ、有名店を全部避ければいいという話でもありません。例外があります。
小籠包(ショウロンポウ/Xiǎolóngbāo)や上海蟹(大闸蟹/ダージャーシエ/Dàzháxiè)のような、その土地の特産品です。こういうものは、観光客向けと言われるお店で食べても、十分においしいと思います。名物として長く出し続けているぶん、そこだけは水準が保たれていることが多いからです。
上海に来て、まだこのあたりを食べていないのであれば、素直に食べに行っていいと思います。どこで何を食べるかを旅程に組み込む話は、上海観光 2泊3日モデルコースのほうにまとめてあります。
⑥-4 4つの軸を「行かない側」から当ててみる
有名店に対して、ここまでの4つの軸はどう働くでしょうか。
いちばん効くのは軸4(時間)だと思います。有名店の問題は、要するに「その評判がいつ作られたものか」だからです。5年前の評判で来ている人が今日も並んでいる、という状態は、軸4で見れば「更新されていない情報」にあたります。
逆に、軸1(客の入り方)はあまり効きません。名前があるだけで人は入ってしまうので、客が多いことが「いま選ばれている」証拠になりにくいからです。ここは軸1が万能ではない、数少ない場面だと思っています。
そのぶん、有名店を判定したいときは軸2(店員の動き)が頼りになります。名前では動きは取り繕えません。席についてからの数分は、有名店でも新しい店でも、同じように見えます。
・在住者があまり行かないのは「昔から有名なお店」
・理由は味ではなく、有名なぶん更新の必要がなくなりやすいこと
・ただし小籠包・上海蟹のような特産品は例外。素直に食べに行っていい
・有名店には軸1が効きにくい。軸4(時間)と軸2(店員の動き)で見る
⑦ 4つの軸の先にあるもの|使い分けと、店長との関係
ここまでが4つの軸です。最後に、その先の話を書きます。20年やってきて、いちばん失敗が減ったのは、実は軸そのものではありませんでした。
⑦-1 場面で店を分けておく
私は、お店を使う場面で分けて持っています。分けているのは、だいたい次の6つです。
① ひとりで食べるとき
② 家族と行くとき
③ 友人とカジュアルに集まるとき
④ 少しおしゃれをして行きたいとき
⑤ 会食で使うとき
⑥ 日本から来た方をお連れするとき
同じお店をすべての場面に使うことはありません。おいしいお店だからといって、会食に向いているとは限らないからです。逆に、会食で間違いのないお店に、ひとりでふらっと行くこともありません。
⑦-2 場面ごとに、外せない条件があります
なぜ分けるのかというと、場面ごとに「外せない条件」が違うからです。私が実際に助かっているのは、次のようなことです。
・予約が取りやすい
・席を融通してもらえる
・メニューにない対応をしてもらえる
・一品サービスをつけてもらえる
・お酒の持ち込みができる
たとえば会食なら、まず予約が確実に取れることが最優先になります。人数が急に増えても席をなんとかしてもらえるかどうかも大きい。持ち込みができるかどうかは、その日に何を飲むかを決められる、ということです。
値段の帯も、場面によってまったく変わります。上海は項目によって日本より安いものと高いものがはっきり分かれる街なので、そのあたりは上海の物価事情|駐在員家族4人の予算リアルにまとめてあります。
⑦-3 分けておくと、相手を退屈させずに済む
場面で分けておく効果は、実はおいしさの話ではありません。
待ち時間などで、お客さんや友人を退屈させずに済む、ということです。
店を探すところから始めると、その場で相手を待たせます。着いてから席がないと分かれば、また移動になります。会食や、久しぶりに会う相手との食事で、その時間はかなり痛いものです。場面ごとに1軒か2軒決まっていれば、迷う時間そのものが消えます。
料理の内容より、この「迷わない」のほうが、相手には伝わっている気がします。
⑦-4 いちばん確実なのは、店長と連絡先を交換して通うこと
そして最後がこれです。人に紹介したいと思うお店ができたら、私はまず店長と連絡先を交換して、集中的に何度も通います。
関係ができてくると、ひとつ前で書いた条件が、こちらから頼まなくても揃ってきます。予約が取りやすくなり、席を融通してもらえるようになり、メニューにないお願いも通るようになる。20年通い続けているお店が続いている理由も、突きつめればここでした。味だけで、そんなに長くは続きません。
もちろん、旅行で来られる方に「店長と仲良くなってください」とは言えません。ただ、上海に住むことになった方であれば、これがいちばん再現性のある方法だと思っています。200軒を回るより、5軒に通うほうが、たぶん近道です。
⑦-5 明日から試せること
□ 次に入る店では、まず客の入りを見る(回っているかどうか)
□ 席についたら、店員さんが二つの用件をさばけているかを見る
□ 口コミは点数より、写真とコメントの新しさを見る
□ 久しぶりに行く店は、人を連れて行く前に自分で一度行く
□ 「ひとり用」「家族用」「人を連れて行く用」を1軒ずつ決めておく

20年かけて増やしてきましたが、いま本当に助かっているのは、そのうちの数軒です。最初の1軒を見つけるところから、ゆっくりやってみてください🐼
※この記事の内容は、2026年8月時点での上海での体感をもとにしています。お店の状況は変わりますので、最新の情報はご自身でも確認してみてください。
⑧ よくある質問(FAQ)
- Q4つの軸のうち、まず1つだけ覚えるならどれですか。
- A
軸1(客の入り方)です。お店の前に立った瞬間に使えて、道具もいりません。ただし衛生面だけは、軸より前の条件だと考えてください。入口で気になったら、混んでいても引き返してかまいません。慣れてきたら軸2(店員の動き)を足していくと、判定の精度が上がります。
- Q中国語が話せなくても大丈夫ですか。
- A
注文は写真つきのメニューや翻訳アプリでなんとかなります。困りやすいのは予約のほうですが、私は口コミアプリの予約機能を使っています。電話をかけて中国語でやりとりする手間が省けるので、話せない方にはとくに向いていると思います。予約が取れているだけで、当日の待ち時間はかなり減ります。
- Q口コミが少ない新しいお店は、避けたほうがいいですか。
- A
避けなくて大丈夫です。口コミが少ないのは「評価が悪い」ではなく「まだ材料がない」だけのことがあります。この場合は、軸1(客の入り方)と軸2(店員の動き)で、自分の目で直接見てください。むしろ口コミが育つ前のお店は、行列に並ばずに入れることも多いです。
- Q日本から来た友人を連れて行くなら、どう選べばいいですか。
- A
2つに分けて考えると迷いません。小籠包や上海蟹のような特産品は、有名なお店で問題ありません。それ以外の食事は、自分が最近行ったお店から選びます。「以前おいしかった店」は、連れて行く前に一度自分で下見をしておくと安心です。相手にとっては、味と同じくらい「迷わずに着いた」ことが印象に残ります。
- Q4つの軸を使っても、外すことはありますか。
- A
あります。20年やっていても外します。ただ、外した回数のぶんだけ「この特徴の店は合わない」という材料が増えていくので、次からの精度は上がっていきます。これまで開拓してきた数も、当たりだけを数えたものではありません。外れも込みで積み上がった数です。

