上海の治安は実際どうか|20年で起きたトラブルは2件でした【2026】

渡航準備

「上海に行くことになったけれど、治安は実際どうなんだろう」

検索してみると、スリ、置き引き、ぼったくり、偽札……こわい言葉が並びます。でも、実際に住んでいる人間の20年は、その並びとはずいぶん違う景色でした。

こんにちは、上海パンダ🐼です。上海歴20年、家族と一緒に暮らしています。

この記事では、20年で実際に起きたことと、心配されているのに一度も起きなかったことを、そのまま書きます。読み終わるころには、何を心配すべきで、何は心配しなくていいのかがはっきりしているはずです。

上海パンダ
上海パンダ

先に結論を言ってしまうと、20年で本当に困ったのは2件だけでした。しかも、どちらも盗まれたんじゃなくて、自分で落としたんです😅

  1. ① 結論|上海の治安は「日本ほどではないが、心配されているほどでもない」
    1. ①-1 20年で実際に困ったのは2件。どちらも盗まれたのではなく、自分で落としました
    2. ①-2 この20年で変わったのは、治安そのものより「落とした物が戻る確率」でした
    3. ①-3 それでも、気をつけている場面はあります
    4. ①-4 この記事で扱わないこと
  2. ② 20年で実際に起きたこと|2件とも、盗まれたのではなく落としました
    1. ②-1 会食で酔って財布を落とした|翌日、知らない番号から電話がありました
    2. ②-2 タクシーに貴重品を忘れた|警察で防犯カメラを見てもらいました
    3. ②-3 2件でわかったこと|「戻ってくる前提」は、あらかじめ自分で作れます
  3. ③ 起きなかったこと|消えたリスク・残っているリスク・新しく生まれたリスク
    1. ③-1 消えたもの①|にせ札の心配は、支払いがアプリになった時点でなくなりました
    2. ③-2 消えたもの②|自転車の鍵と、子どもへの警戒
    3. ③-3 それでも残っているもの|声かけ・お店選び・酔った夜
    4. ③-4 新しく出てきたもの|金額を自分で入力する支払い
  4. ④ 場面1 街なかと移動|持ち物・タクシー・声の大きさ
    1. ④-1 いちばん心配なのは財布より携帯|私はチェーンをつけています
    2. ④-2 タクシーは「拾う」より「アプリで呼ぶ」|記録が残ることが安全になります
    3. ④-3 日本語で声をかけられたら、断ってよいと思っています
    4. ④-4 歴史にかかわる日は、声の大きさだけ気をつける
  5. ⑤ 場面2 お金まわり|決済とお金のトラブル
    1. ⑤-1 現金を出す場面が減って、いっしょに消えたもの
    2. ⑤-2 入れ替わりで生まれたもの|「金額を自分で入力する」画面
    3. ⑤-3 お酒が入った日は、支払いを人任せにしない
  6. ⑥ 場面3 家族の安全|子ども連れ・配偶者のひとり行動
    1. ⑥-1 来たばかりの頃、いちばん気を張っていたのは子どものことでした
    2. ⑥-2 いま妻がひとりで出かけられている理由|「あえてアプリで呼ぶ」
    3. ⑥-3 落とし物をしても、すぐ連絡がつく状態にしておく
  7. ⑦ もし何かあったら|連絡先と備え
    1. ⑦-1 実際に頼ったのは、友人・会社・警察でした
    2. ⑦-2 警察に行くとき|「たどれる記録がないか」を相談する
    3. ⑦-3 在上海日本国総領事館は、休館日や閉館時間帯でも対応してもらえます
    4. ⑦-4 行く前・住みはじめてすぐにできる備え
  8. ⑧ よくある質問(FAQ)

① 結論|上海の治安は「日本ほどではないが、心配されているほどでもない」

・上海の治安は、日本ほど安全ではありません。でも、心配されているほど危なくもありません
・上海歴20年で実際に困ったのは2件だけ。どちらも盗まれたのではなく、自分で落としたものでした
・そして2件とも、手元に戻ってきました

「上海に行くことになったんですが、治安って実際どうなんですか」

このところ、この質問をされる機会が増えました。答えるときにいつも困るのは、こわい話をしようと思えばいくらでもできるのに、自分の身に起きたことはほとんどない、というギャップです。

ネットで「上海 治安」と検索すると、スリ、置き引き、ぼったくり、白タク、偽札……といった言葉が並びます。どれも「ありうる話」ではあります。ただ、上海歴20年のあいだに実際に自分の身に起きたことを数えてみると、その並びとはずいぶん違う景色になりました。

この記事では、その景色をそのまま書きます。起きたことと、起きなかったことの両方です。

①-1 20年で実際に困ったのは2件。どちらも盗まれたのではなく、自分で落としました

記憶している範囲では、20年で「これは困った」と言えることは2件でした。

ひとつは、会食の帰りに財布を落としたこと。もうひとつは、タクシーに貴重品を置き忘れたことです。

並べてみて自分でも意外だったのですが、この2件はどちらも「誰かに盗られた」話ではありません。どちらも自分で落として、自分で置き忘れたものです。そして、どちらも戻ってきました。

もちろん、これは私の20年がそうだったというだけの話で、「上海では何も起きません」という意味ではありません。ただ、心配の中身が実態とずれていることは、はっきり言えると思っています。

①-2 この20年で変わったのは、治安そのものより「落とした物が戻る確率」でした

20年のあいだに、上海はずいぶん変わりました。

支払いはほとんどスマホになり、タクシーは道で手を挙げるよりアプリで呼ぶのが当たり前になりました。街のあちこちにカメラがあります。

この変化を「治安が良くなった」と言い切ってしまうのは、たぶん少し乱暴です。私が実感として強く感じているのは、もう少し限定的なことです。

変わったのは、治安そのものというより「落とした物が戻ってくる確率」
・支払いにも移動にも記録が残るようになった
・記録が残るから、たどれる
・たどれるから、戻ってくる

このあと書く2件は、どちらもここに助けられました。たどれる状態を自分で作っておけるかどうかが、上海で困ったときの分かれ目になります。

①-3 それでも、気をつけている場面はあります

一方で、20年たっても変わらず気をつけている場面もあります。私が実際に警戒しているのは、次の4つです。

・お酒が入って、ひとりで夜道を歩くとき
・知らない人に、日本語で声をかけられたとき
・支払いで、金額を自分で入力するとき
・日中の歴史にかかわる日に、日本語で大きな声を出すとき

気づいていただけるでしょうか。この4つはどれも「場所」ではなく「自分がどういう状態でいるか」の話です。

「あのエリアは危ない」「この通りは避けたほうがいい」という形で覚えようとすると、行ったことのない場所では応用が効きません。それに、街の様子は年ごとに変わります。場面で覚えておくほうが、たぶん役に立ちます。

この4つは、このあとの章でひとつずつ書いていきます。

①-4 この記事で扱わないこと

この記事は「安全のためにどうするか」だけを書きます。となりの話題は、それぞれ別の記事にまとめてあります。

・移動手段そのものの選び方(配車アプリ・地下鉄・タクシーの使い分け)
 → 上海の交通は3つで足りる|配車アプリ・地下鉄・タクシーの使い分け【2026】
・支払いの始め方と、現金・カード・スマホ決済の組み立て方
 → 上海・中国の支払い方法 完全ガイド|現金・クレカ・スマホ決済の三段構え【2026】
・体調をくずした・ケガをしたときの病院のかかり方
 → 上海で日本語が通じる病院|3つの選択肢とかかり方【2026】


② 20年で実際に起きたこと|2件とも、盗まれたのではなく落としました

落としたものが、どうやって戻ってきたか 20年で起きた2件について、起きたこと・手がかり・結果を横に並べた図 落としたものが、どうやって戻ってきたか 起きたこと 手がかり 結果 会食の帰りに 財布を落とした 財布に名刺が 入っていた 翌日、電話が かかってきた タクシーに 貴重品を忘れた 街のカメラに 記録が残っていた その日のうちに 戻ってきた

まず、実際に起きた2件を書きます。どちらも自慢できる話ではありませんが、上海で困ったときに何が助けになるのかが、いちばんよく出ている2件です。

②-1 会食で酔って財布を落とした|翌日、知らない番号から電話がありました

会食の帰りに、財布を落としました。

正直に書くと、かなり酔っていました。どこで落としたのか、いまだに分かっていません。気づいたのは家に帰ってからで、その時点でもう手の打ちようがなく、諦めて寝ました。

翌日、知らない番号から携帯に電話がかかってきました。

財布を拾ってくれた方からでした。財布に名刺を入れていたので、そこに書いてある番号にかけてくれたのです。しかも、拾ってくれたのは家の近くに勤めている人でした。後日、お礼を持って会いに行きました。

・落とした場所は、結局わからないまま
・戻ってきた理由は「連絡先がわかる状態だった」ことひとつ
・自分にできていたのは、財布に名刺を入れていたことだけ

たまたま運がよかった、と言われればそのとおりです。ただ、運が働くためには「連絡できる状態」が必要でした。名刺が入っていなければ、拾ってくれた人にも打つ手がありません。

②-2 タクシーに貴重品を忘れた|警察で防犯カメラを見てもらいました

もう1件は、タクシーの中に貴重品を置き忘れたことです。パスポートや財布といった、無くすといちばん困るものでした。

このときは、警察に行きました。

事情を話したところ、防犯カメラの記録を見てもらえることになり、そこから乗ったタクシーを特定してもらえました。結果として、その日のうちに手元に戻ってきています。

・自力では探しようがなかった(どの車だったか覚えていない)
・たどる手がかりは、街のカメラの記録のほうにあった
・解決までは、その日のうち

正直なところ、それまで「困ったら警察」という発想が自分の中にありませんでした。言葉のこともありますし、外国人が行って相手にしてもらえるのだろうか、という気持ちもありました。実際に行ってみて、頼っていい場所なんだと分かったのは、この一件の収穫でした。

⚠️ もちろん、いつでも必ず同じように解決するとは限りません。私のときはこうだった、という一例として読んでください。

②-3 2件でわかったこと|「戻ってくる前提」は、あらかじめ自分で作れます

2件を並べると、助けになったものがはっきりします。財布のときは名刺、タクシーのときはカメラの記録でした。どちらも「たどる手がかり」です。

そして手がかりのうち、自分であらかじめ用意できるものがあります。

① 連絡先が分かるものを、財布やカバンに1枚入れておく
② タクシーは道で拾うより、アプリで呼ぶ(どの車に乗ったかの記録が残ります)
③ 無くしたと気づいたら、その日のうちに動く(記録は永久には残りません)

とくに②は、気をつけるための行動ではなく、後から助かるための行動です。乗るときには何のありがたみもありませんが、置き忘れた瞬間に効いてきます。

上海パンダ
上海パンダ

20年住んでいて、「盗まれた」と思ったことは何度かありました。でも落ち着いて振り返ると、たいてい自分が落としているんですよね……😅

・20年で困ったのは2件。どちらも盗難ではなく、自分の落とし物でした
・助けになったのは「名刺」と「カメラの記録」=どちらもたどる手がかり
・手がかりは、落とす前に自分で用意しておけます


③ 起きなかったこと|消えたリスク・残っているリスク・新しく生まれたリスク

この20年で、心配ごとは入れ替わりました なくなったもの・いまも残っているもの・新しく出てきたものを3列で並べた図 この20年で、心配ごとは入れ替わりました むかし いま なくなったもの ・にせ札の心配 ・自転車の盗難 ・子どもへの強い警戒 いまも残っているもの ・知らない人からの声かけ ・入る店選び ・酔ったあとの夜道 新しく出てきたもの ・金額を自分で  入力する支払い

ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。

「上海は危ない」と言われるときに挙がる項目のうち、20年住んで一度も遭わなかったものがあります。そして、遭わなかった理由がはっきりしているものもあります。

一方で、20年たっても消えていないものも、この数年で新しく出てきたものもあります。心配ごとは減ったのではなく、入れ替わったというのが実感に近いです。

③-1 消えたもの①|にせ札の心配は、支払いがアプリになった時点でなくなりました

昔の上海の注意事項として、必ず出てくるのが「にせ札」でした。おつりで受け取った札が本物かどうか、光にかざして確かめる。そういう話が確かにありました。

いまは、この心配をする場面そのものがほとんどありません。

理由は治安が良くなったからではなく、単純に現金を出す場面が消えたからです。買い物も食事もタクシーも、スマホで支払いが完結します。おつりを受け取らなければ、にせ札をつかまされようがありません。

⚠️ 現金がまったく不要という意味ではありません。現金・カード・スマホ決済の組み立て方は上海・中国の支払い方法 完全ガイド|現金・クレカ・スマホ決済の三段構え【2026】にまとめてあります。

③-2 消えたもの②|自転車の鍵と、子どもへの警戒

上海に来たばかりの頃、私が家族に対していちばん気を張っていたのは、子どもの安全でした。当時は子どもがらみの事件の話も耳に入ってきていて、外に出るときはかなり気を張っていました。

いまは、当時と同じ緊張感では暮らしていません。

街のあちこちにカメラがあることが、体感として大きいと思っています。極端な言い方をすれば、自転車に鍵をかけていない人を見かけても驚かなくなったくらいです。持って行けば、すぐに分かってしまうからです。

⚠️ もちろん、これは「鍵をかけなくていい」という話ではありません。鍵はかけてください。そういう空気になっている、という体感の話として読んでいただければと思います。

③-3 それでも残っているもの|声かけ・お店選び・酔った夜

ここまで読むと「じゃあ安全なんですね」と思われそうですが、そうではありません。消えていないものは、はっきり残っています。

・知らない人からの声かけ
・入る店選び(いわゆる、ぼったくりの店の話はいまも聞きます)
・お酒が入ったあとの、ひとりの夜道

面白いことに、この3つはどれも「街の側」ではなく「人と人との接点」で起きます。 カメラが増えても、記録が残るようになっても、ここだけは減っていません。

ひとつ正直に書いておくと、このうち店のトラブルについては、私自身が遭ったわけではありません。周りから聞く話です。ただ、20年ずっと聞き続けているという意味で、無くなってはいないのだろうと考えています。

声かけと夜道については、このあと具体的に書きます。

③-4 新しく出てきたもの|金額を自分で入力する支払い

そして、この数年で新しく出てきた心配ごとがあります。

QRコードを読み取って支払うとき、店によっては金額が自動で入らず、自分で入力する形式があります。読み取ったあと、画面に自分で数字を打ち込んで送金するタイプです。

普段なら何ということもありません。問題は、お酒が入っているときです。

・桁をひとつ多く打ってしまう
・相手に言われた金額を、確かめずにそのまま打ってしまう
・支払ったあとで気づいても、現金と違って「返して」が言いにくい

にせ札が消えた代わりに、入力ミスと言い値という別の形が出てきた、というのが私の理解です。詳しくは、このあとのお金まわりの章で書きます。

・消えたもの=にせ札の心配、自転車の盗難、子どもへの強い警戒
・残っているもの=声かけ・店選び・酔ったあとの夜道(=人との接点で起きるもの)
・新しく出てきたもの=金額を自分で入力する支払い
・心配ごとは減ったのではなく、入れ替わりました


④ 場面1 街なかと移動|持ち物・タクシー・声の大きさ

ここからは、冒頭で挙げた「気をつけている場面」をひとつずつ書きます。まずは街を歩くときと、移動するときです。

④-1 いちばん心配なのは財布より携帯|私はチェーンをつけています

持ち物で自分がいちばん気にしているのは、財布ではなく携帯です。

理由は2つあります。ひとつは、財布より落としやすいこと。歩きながら地図を見て、写真を撮って、そのままポケットに入れる。取り出す回数が桁違いに多いので、置き忘れる機会もそのぶん多くなります。

もうひとつは、無くしたときの困り方が財布より重いことです。支払いも、タクシーを呼ぶのも、連絡を取るのも、いまはほとんど携帯の中にあります。財布を落としても携帯があれば動けますが、逆はかなり厳しくなります。

そこで私は、携帯にチェーンをつけています。

スリ対策というより、落とさないためです。先ほど書いたとおり、私が実際に困ったのは盗難ではなく落とし物でした。だとすれば、対策も「盗られない工夫」より「落とさない工夫」のほうが効きます。

④-2 タクシーは「拾う」より「アプリで呼ぶ」|記録が残ることが安全になります

移動でいちばん変わったのは、タクシーの乗り方です。

昔は道で手を挙げて拾うのが当たり前でした。いまは、配車アプリ(滴滴出行/ディディチューシン/Dīdī chūxíng など)で呼ぶのが普通になっています。

安全という観点で見たときに大きいのは、料金でも待ち時間でもなく、記録が残ることです。

・どの車に乗ったか
・どこからどこまで乗ったか
・いくら払ったか

タクシーに置き忘れた話も、アプリで呼んでいれば、そもそも警察に行く前に自分でたどれた可能性があります。呼んだ時点で「たどれる状態」ができているわけです。

妻がひとりで出かけるときも、この点は大きいと思っています。家族の話は、このあとの章でもう少し書きます。

⚠️ どの手段をどう使い分けるかは上海の交通は3つで足りる|配車アプリ・地下鉄・タクシーの使い分け【2026】にまとめてあります。ここでは「安全の面ではアプリで呼ぶほうが良い」という1点だけです。

④-3 日本語で声をかけられたら、断ってよいと思っています

街を歩いていると、日本語で声をかけられることがあります。

「日本の方ですか」から始まって、案内をしてくれる、いい店がある、といった流れになることがあります。悪意のない人ももちろんいます。ただ、私はこれを全部断ることにしています。

理由は単純で、断って困ったことが一度もないからです。

・こちらから頼んでいないのに、向こうから日本語で来ている時点で、目的がある
・付いていった先で判断を求められると、その場では断りにくくなる
・行き先を自分で決めているかぎり、さきほどの店のトラブルはほぼ関係なくなる

冷たい態度を取る必要はありません。「大丈夫です」と言って歩き続ける、それだけです。上海で日本語で声をかけられることは、そもそもそんなに自然なことではない、という感覚を持っておくと判断が早くなります。

④-4 歴史にかかわる日は、声の大きさだけ気をつける

もうひとつ、20年ずっと気をつけていることがあります。日中の歴史にかかわる日です。

これは私の思い込みではなく、在上海日本国総領事館が毎年、注意喚起を出しています。

外で周囲に聞こえるような声量で日本語を話すこと等は極力控えるとともに、日本人同士で、集団で騒ぐ等の目立った行為は避ける。

出典:在上海日本国総領事館「【安全対策情報】9月3日のいわゆる「抗日戦争勝利記念日」についての注意喚起」(2026年8月28日付)https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000889.html (2026年8月29日 確認)

同じ内容の注意喚起は、7月7日(盧溝橋事件の日)についても出されています(2026年7月2日付)。ほかにも9月18日、12月13日など、歴史にかかわる日には同じ趣旨の案内が出ます。

・やること … 声の大きさを落とす。複数人で行動する。人が多く集まる場所を避ける
・やらないこと … 日本語で大きな声を出す、集団で騒ぐ、日本人と分かる格好で目立つ
・やらなくていいこと … 外出そのものを取りやめる

私の実感としても、これは「その日は家から出ない」という話ではありません。声の大きさと振る舞いを一段落とすだけで、ほとんどの場面は普段どおりです。

ひとつ、ごく最近あったことを書いておきます。日本でいう終戦の日(8月15日)に、ごく普通のカラオケ店に行ったのですが、その日にかぎって日本の曲がほとんど入っていませんでした。 何か言われたわけでも、嫌な思いをしたわけでもありません。ただ、そういう日なんだなと実感しました。

⚠️ 8月15日は、上に挙げた総領事館の注意喚起の対象日として案内されているわけではありません。あくまで私が体験した一例です。

・持ち物で守るべきは財布より携帯。対策は「盗られない」より「落とさない」
・タクシーはアプリで呼ぶ。安全面の利点は記録が残ること
・日本語での声かけは、断って困ったことが一度もありません
・歴史にかかわる日は、外出をやめるのではなく声の大きさを落とす


⑤ 場面2 お金まわり|決済とお金のトラブル

お金まわりは、上海でいちばん大きく変わったところです。そして、心配の中身がきれいに入れ替わった場所でもあります。

⑤-1 現金を出す場面が減って、いっしょに消えたもの

さきほど書いたとおり、にせ札の心配はほとんどしなくなりました。それだけではありません。現金を出す場面が減ったことで、いっしょに消えたトラブルがいくつかあります。

・おつりが合っているかの確認
・大きい札が使えない、細かいお金がない、といったやりとり
・財布から現金を出す動作そのもの(=人前で財布を開く回数)

3つめは地味ですが、意外と大きいと思っています。財布を出さなくなれば、財布を狙われる場面も減ります。 スリの心配が減った理由の一部は、たぶんここにあります。

⑤-2 入れ替わりで生まれたもの|「金額を自分で入力する」画面

その代わりに出てきたのが、金額を自分で入力する支払いです。

大きなお店なら、レジで読み取れば金額は自動で入ります。ところが小さな店や屋台では、店側のQRコードを読み取ったあと、自分で数字を打ち込んで送る形になることがあります。

このとき起きうることは、はっきりしています。

・桁をひとつ多く打ってしまう(例:一桁ずれるだけで請求が別物になります)
・言われた金額をそのまま打ってしまい、あとで「そんなに高かったか」と気づく
・払ったあとで気づいても、現金と違って「いま返して」が言いにくい

現金なら、財布から出す枚数で自分にブレーキがかかります。画面の数字は、その感覚が働きません。

⑤-3 お酒が入った日は、支払いを人任せにしない

私が決めているのは、とてもシンプルなことです。

① 送信ボタンを押す前に、画面の数字を一度声に出して読む
② 桁だけ確認する(数字そのものより、桁がひとつ多くないかを見る)
③ お酒が入っている日は、金額を入力する場面を人に任せない

②が実用的です。金額そのものが正しいかどうかは、酔っていると判断できません。でも桁が1つ多いかどうかなら、酔っていても分かります。

①も、恥ずかしがらずにやる価値があります。声に出すと、なぜか間違いに気づきます。

⚠️ 支払い手段そのものの組み立て方(現金・カード・スマホ決済をどう持つか)は、この記事では扱いません。前半で挙げた支払いのガイドにまとめてあります。

・現金が減ったことで、にせ札もおつりのやりとりも、財布を開く回数も減りました
・代わりに出てきたのが「金額を自分で入力する」支払い
・対策は、送る前に声に出して読むことと、桁だけ確認すること
・お酒が入った日は、入力を人に任せない


⑥ 場面3 家族の安全|子ども連れ・配偶者のひとり行動

ここは、私が読者の方からいちばんよく聞かれるところです。自分ひとりなら何とかなる。でも家族を連れて行くとなると話が別、というのはよく分かります。

⑥-1 来たばかりの頃、いちばん気を張っていたのは子どものことでした

前半でも少し触れましたが、上海に来たばかりの頃、私がいちばん気を張っていたのは、自分のことではなく子どものことでした。

いま思い返すと、街の情報が少なかったぶん、不安の輪郭がぼやけていたという面もあったと思います。何が危ないのかが分からないと、全部が危ないように見えてしまいます。

いまは、当時と同じ緊張感では暮らしていません。心配ごとの輪郭が、20年かけてはっきりしてきたからだと思っています。

⚠️ これは「気をつけなくていい」という意味ではありません。心配の量を、当時ほど多く持たなくてよくなった、という話です。

⑥-2 いま妻がひとりで出かけられている理由|「あえてアプリで呼ぶ」

家族の安全という点で、いま我が家がいちばん効いていると感じているのは、移動のしかたです。

妻がひとりで出かけるとき、タクシーは道で拾わずに、あえてアプリで呼びます。

「あえて」と書いたのは、道で拾ったほうが早い場面もあるからです。それでもアプリを使うのは、次の3つが手に入るからです。

・どの車に乗ったかが残る(車の情報が画面に出ます)
・運転手にも評価がついていて、記録が残る前提で動いている
・降りたあとに忘れ物をしても、その車に連絡が取れる

3つめは、我が家では何度も助かっています。忘れ物に気づいた時点で、すぐ連絡できるというのは、想像以上に安心につながります。

言葉が通じないことへの不安は、行き先を口で伝えなくてよくなった時点でだいぶ減りました。安全の面でも、言葉のいらない移動手段があることは大きいと思っています。

⑥-3 落とし物をしても、すぐ連絡がつく状態にしておく

家族と共有しておくと楽なのは、結局この記事の前半で挙げた3つ(連絡先を1枚入れる/アプリで呼ぶ/その日のうちに動く)と同じです。ちがいは、それを家族の決まりごとにしてしまうことだけです。

とくにタクシーを「その場の判断」にしておくと、急いでいる日や雨の日に必ず崩れます。決めてしまったほうが、結果的に楽です。

我が家の場合、こうした細かい決めごとは、私が出張や会食で家にいない時間が長いことが前提になっています。同じような状況の方は、上海駐在の帯同家族|夫が不在でも回る生活の5つの段取り【2026】もあわせて読んでみてください。

・来たばかりの頃は、子どものことがいちばんの心配でした
・いま同じ緊張感ではないのは、街に記録が残るようになったから
・家族の移動は「あえてアプリで呼ぶ」。忘れ物にすぐ対応できるのが大きい
・決めごとにしてしまうと、忙しい日でも崩れません


⑦ もし何かあったら|連絡先と備え

ここまで「起きないこと」の話が多かったので、最後に起きてしまったときの話を書きます。

⑦-1 実際に頼ったのは、友人・会社・警察でした

20年のあいだに私が実際に頼った先は、特別なところではありませんでした。

友人(現地の事情を知っている人が近くにいると、判断がとても速くなります)
会社(駐在で来ている場合、まず社内に相談窓口があるはずです)
警察(落とし物・忘れ物のとき。実際に助けてもらいました)

順番に決まりはありませんが、私の場合はまず身近な人に話すところから始まっています。ひとりで抱えて悩んでいる時間が、いちばん何も進みません。

⑦-2 警察に行くとき|「たどれる記録がないか」を相談する

私が助けられたのは「探してください」とお願いしたからではなく、街に残っている記録をたどってもらえたからでした。

同じように困ったときは、自分が持っている手がかりを整理してから行くと話が早くなります。

・いつ、どのあたりで、何を無くしたか
・どうやって移動したか(アプリで呼んだなら、その記録の画面)
・連絡が取れる電話番号

⚠️ 私のときは、その日のうちに解決しました。ただ、いつでも必ず同じように解決するとは限りません。 一例として読んでください。

⑦-3 在上海日本国総領事館は、休館日や閉館時間帯でも対応してもらえます

これは意外と知られていないのですが、総領事館は開いている時間だけの窓口ではありません。

総領事館が出している安全対策情報には、次のように書かれています。

万一、事件、事故等に遭われたり、ご不安がある場合には、下記連絡先までご連絡・ご相談ください。休館日及び閉館時間帯でも対応いたします。

出典:在上海日本国総領事館「【安全対策情報】9月3日のいわゆる「抗日戦争勝利記念日」についての注意喚起」(2026年8月28日付)https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000889.html (2026年8月29日 確認)

・電話:(市外局番021)5257-4766(代表)/国外からは +86-21-5257-4766(代表)
・管轄:上海市・江蘇省・浙江省・安徽省・江西省
休館日および閉館時間帯でも対応
・総領事館は「安全の手引き」も公開しています(サイト内で配布)

📌 上海だけでなく、江蘇省・浙江省・安徽省・江西省も管轄です。出張でこのあたりに行く方は、番号を控えておくと安心だと思います。

⑦-4 行く前・住みはじめてすぐにできる備え

やっておくと安心なことは、じつはそれほど多くありません。

① 外務省の窓口に登録しておく(短期の渡航と、長く住む場合とで登録先が分かれています)
 オンライン在留届・たびレジ https://www.ezairyu.mofa.go.jp/ (2026年8月29日 確認)
② 総領事館の電話番号を、スマホの連絡先に入れておく
③ 海外旅行保険を用意しておく
④ 財布とカバンに、連絡先が分かるものを1枚入れておく

⚠️ 登録の要件(滞在期間による区分など)は変わることがあります。手続きの詳細は必ず公式でご確認ください。

③については、中国の医療費は日本の感覚と違うので、旅行でも用意しておくほうが安心です。選び方は中国旅行の海外保険おすすめ3選!現地キャッシュレスが使える保険を比較【2026年版】にまとめてあります。

④は、この記事でいちばん安上がりな対策です。私の財布が戻ってきた理由は、結局これひとつでした。

場面 まずすること 頼る先
落とした・置き忘れた 心当たりに連絡する/移動の記録をたどる 友人・会社・警察
被害にあった その場を離れて安全を確保してから届け出る 警察・会社・総領事館
体調をくずした・ケガをした 日本語が通じる病院を、先に知っておく 上海で日本語が通じる病院|3つの選択肢とかかり方【2026】
不安がある・判断に迷う 相談する(休館日・閉館時間帯も対応) 在上海日本国総領事館

・上海の治安は「日本ほどではないが、心配されているほどでもない」
・20年で実際に困ったのは2件。どちらも盗難ではなく、自分の落とし物でした
・変わったのは治安そのものより、落とした物が戻ってくる確率
・いまも残っているのは、街ではなく人との接点で起きるもの(声かけ・店選び・酔った夜)
・備えは4つだけ。連絡先を1枚入れる/アプリで呼ぶ/その日のうちに動く/相談先を持っておく

上海パンダ
上海パンダ

心配の量は、ちゃんと減らせます。ただ、減らすところを間違えないでくださいね。減らしていいのは「にせ札」で、減らしちゃいけないのは「声をかけられたとき」です🐼


⑧ よくある質問(FAQ)

Q
上海の治安は、日本と比べてどうですか?
A

日本ほど安全ではない、というのが正直なところです。ただ、私が20年住んで実際に困ったのは2件で、どちらも盗難ではなく自分の落とし物でした。「危ないから行かない」を考えるような水準ではない、というのが実感です。

Q
女性がひとりで出歩いても大丈夫ですか?
A

我が家では妻がひとりで出かけていますし、それで困ったことは起きていません。気をつけているのは時間帯より移動のしかたで、夜の移動はとくに、道でタクシーを拾わずアプリで呼ぶようにしています。乗った車の記録が残るためです。

Q
スリや置き引きは多いですか?
A

私自身は20年で一度も遭っていません。ただ、心配するなら財布より携帯だと思っています。取り出す回数が多いぶん、落とす機会も多いからです。私はチェーンをつけて、落とさないようにしています。

Q
落とし物や忘れ物は、戻ってきますか?
A

私の場合は2件とも戻ってきました。ただ、戻ってきた理由ははっきりしていて、連絡先が分かる状態だったことと、街に記録が残っていたことの2つです。何もしていなくても戻ってくる、という話ではありません。

Q
事件や事故に遭ったら、どこに連絡すればいいですか?
A

駐在の方はまず会社に相談してください。そのうえで、在上海日本国総領事館は休館日や閉館時間帯でも対応しています(電話:+86-21-5257-4766/2026年8月29日 確認)。体調やケガの場合は、日本語が通じる病院を先に知っておくと動きやすくなります。

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