上海に着いて、荷物を受け取って、さあ街へ。
そこで最初にやってくるのが「この街、どうやって移動するんだろう」という不安だと思います。中国語は話せない。タクシーは止まらないと聞いた。地下鉄は乗れるんだろうか——調べはじめると、タクシーの記事と地下鉄の記事がバラバラに出てきて、結局どれに乗ればいいのか分からない。
結論から言うと、上海の移動は「配車アプリ・地下鉄・タクシー」の3つだけ覚えれば足ります。
そして、この3つの使い分けは、料金でも所要時間でもなく 「荷物の量」と「その時の状況」 で決まります。荷物が多ければ配車アプリ、身軽な昼間なら地下鉄、経費精算があるならタクシー。この判断の軸さえ持っていれば、現地で迷いません。
上海歴20年、いまも毎日この3つで動いています。この記事では、アプリの手順ではなく「実際にどこでつまずくか」を中心に書きました。決済が通らなくて空港で立ち往生する話、車を呼んだあとに歩いてしまって運転手と探し合う話、領収書のかたちが違って経費精算でひと手間かかる話——どれも、公式の使い方ページには書いていないことです。
読み終わったころには、到着した日から迷わず動ける状態になっているはずです。最後に、場面から引ける早見表と、覚えておくと効く中国語もまとめておきました😊

上海に20年住んでいるぼくでも、いまだに「あ、やっちゃった」と思う瞬間があります。移動って、覚えることは少ないのに、つまずきどころだけがやたらピンポイントなんですよね🐼
👉 上海観光の全体像(ベストシーズン・定番スポット・準備の段取り)は 上海観光 完全ガイド|ベストシーズン・定番スポット・準備の段取り にまとめています。この記事は、そのなかの「移動」を深掘りしたものです。
① 結論|上海の移動は「配車アプリ・地下鉄・タクシー」の3つで足りる
この3つで、空港から市内へも、観光地から観光地へも、深夜の帰り道も、だいたいカバーできます。レンタカーも、路線バスも、自転車のシェアリングもありますが、初めての上海で最初から手を出す必要はありません。
なぜ3つで足りるのか。理由はシンプルで、上海は地下鉄が街の隅々まで通っていて、そこから外れた場所は配車アプリで安く埋められるからです。しかも料金が日本と比べてかなり安いので、「歩けば節約になる」と我慢する場面がほとんどありません。
| 手段 | 1回の料金の目安 | 中国語 | 大きい荷物 | いちばん向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 配車アプリ(滴滴出行) | 街なかで20〜60元 (約480〜1,440円) |
要らない | ◎ | 迷ったらこれ。荷物・雨・深夜 |
| 地下鉄 | 3〜9元 (約70〜220円) |
要らない | △ | 昼間の観光・渋滞したくない時 |
| タクシー(流し) | 初乗り14元〜 (約340円〜) |
少し要る | ◎ | 目の前に止まっている時/紙の領収書が要る時 |
この表のいちばん大事な列は、実は「中国語」です。 上海の移動でつまずくのは料金でも道でもなく、ほとんどが「行き先を伝えられない」ことだからです。
👉 タクシーが日本と比べてどれくらい安いのか、生活まるごとの物価感は 上海の物価事情|駐在員家族4人の予算リアル で詳しく書いています。
①-1 配車アプリ(滴滴出行/ディディチューシン/Dīdī chūxíng)|言葉が要らないのが最大の利点
上海でいちばん出番が多いのが、配車アプリの滴滴出行(ディディチューシン/Dīdī chūxíng) です。日本では「DiDi」の表記でも知られています。
使い方はとても単純で、地図の上で行き先をタップして、車を呼ぶ。それだけです。
・行き先は地図で指定するので、口で説明する必要がありません
・乗る前に料金の目安が表示されるので、降りるときに驚くことがありません
・支払いはアプリの中で終わるので、財布を出す場面がありません
「中国語がまったく話せないけれど大丈夫だろうか」という不安は、正直このアプリでほぼ消えます。逆に言うと、このアプリを渡航前に用意できているかどうかで、上海での移動のしやすさが決まります。
①-2 地下鉄|安くて、渋滞と無縁。ただし荷物が多い日は向きません
上海の地下鉄は、2026年時点で20を超える路線が走っていて、主要な観光地はだいたい駅から歩いて行けます。料金は初乗り3元(約70円)、観光でよく行く範囲なら3〜9元(約70〜220円)です。日本の感覚だと、驚くほど安く感じると思います。
地下鉄のいちばんの強みは、時間が読めることです。上海の道路は時間帯によってかなり渋滞するので、「何時までにここへ着きたい」という日は、地下鉄のほうが安心できます。
一方で、苦手な場面もはっきりしています。
・スーツケースなど大きい荷物がある日(階段・乗り換え・混雑がこたえます)
・朝夕の通勤時間帯(このあと詳しく書きますが、日本の通勤ラッシュと変わりません)
・雨の日(駅までの徒歩が、そのまま濡れる時間になります)
ぼくは「地下鉄は身軽な昼間に強くて、荷物と雨と時間帯に弱い」と整理しています。この覚え方で、だいたい間に合います。
①-3 流しのタクシー|いまは「つかまえる」より「呼ぶ」が前提になりました
ここが、上海に来る前のイメージといちばんズレるところかもしれません。
いまの上海では、道で手を挙げても、タクシーはほとんど止まりません。
車が減ったわけではありません。走っている車の多くが、すでにアプリで予約が入った状態だからです。地元の人もほぼ全員がアプリで呼ぶので、流しで拾える車そのものが少なくなりました。
上海に住んでいるぼくも、外で手を挙げて待つことはもうありません。雨の日に道端で粘るより、アプリで呼んで屋根のあるところで待つほうが、結果的にずっと早いんですよね。
とはいえ、タクシーがなくなったわけではありません。空港・駅・大きなホテルの乗り場には列ができていますし、そこでは普通に乗れます。
そしてもうひとつ、タクシーにしかない強みがあります。紙の領収書(発票/ファーピャオ/fāpiào)が出ることです。出張で経費精算がある方には、ここが効いてきます。この話はこのあと詳しく書きます。
この章のまとめ
・上海の移動は「配車アプリ・地下鉄・タクシー」の3つで足りる
・迷ったら配車アプリ。行き先を地図で指定するので、中国語が要らない
・地下鉄は安くて時間が読める。ただし大きい荷物・ラッシュ・雨には弱い
・流しのタクシーは道ではほぼ止まらない。乗り場を使うか、アプリで呼ぶ
② 配車アプリの使い方|外国人がつまずくのは「決済」と「呼ぶ場所」
配車アプリの使い方そのものは、実はとても簡単です。地図で行き先を選んで、呼ぶ。これだけです。
それなのに、日本から来た方がつまずくポイントは、毎回だいたい同じところに集まります。「決済」と「呼ぶ場所」の2つです。
操作方法を1から10まで覚える必要はありません。この2つだけ先に押さえておけば、あとは現地で触りながらで十分間に合います。
②-1 先に決済を通しておく|アプリを入れる順番を間違えると詰まります
いちばん多い失敗が、これです。
配車アプリは、現金が使えません。 アプリの中で支払いが完結する仕組みなので、支払い手段が用意できていないと、アプリを入れても車を呼べません。
そして支払い手段というのは、多くの場合 アリペイ(支付宝/Zhīfùbǎo)か ウィーチャットペイ(微信支付/Wēixìn zhīfù) です。つまり順番はこうなります。
正しい順番
① 日本にいるうちに アリペイ / ウィーチャットペイ を開通させ、カードを紐付ける
② 上海に着いてから(またはその前に)配車アプリを入れる
③ 車を呼ぶ
逆をやると、空港に着いてから「支払いが登録できない」と立ち往生することになります。しかも困ったことに、こういう手続きが必要なときに限って、上海のネット環境が思うように動かないということが起きます。
決済の登録は、正直ここだけで記事1本ぶんの分量があります。カードが弾かれる原因も、顔認証が通らない原因も、それぞれ対処が違うからです。
👉 アリペイ・ウィーチャットペイの登録とカードの紐付けは Alipay・WeChat Pay 紐付け方法|Visa/JCB対応を解説 に手順をまとめています。
👉 配車アプリを含めて「上海で最初に入れるアプリ」を知りたい方は 上海生活の必須アプリTop5 をどうぞ。
②-2 呼ぶ場所の指定|ピンは「建物」ではなく「出入口」に置く
決済さえ通れば、あとは呼ぶだけ……なのですが、ここでもうひとつ落とし穴があります。
迎えに来てもらう場所(ピックアップ地点)は、アプリが自動で決めてくれます。 現在地をGPSで拾って、地図上に緑のピンが立ちます。何もしなければ、そこに車が来ます。
問題は、その「現在地」が、車が停まれる場所とは限らないことです。
大きなショッピングモールや広い駅の前だと、地図のピンは建物の真ん中に落ちます。でも運転手が停められるのは、道路に面した出入口です。ピンをドラッグして、自分が実際に立って待てる場所へ動かしておくと、これだけでかなりスムーズになります。
そして、ぼく自身がいちばんやりがちな失敗がこれです。

車を呼んだあと、「まだ来ないな」と思って少し歩いてしまうんですよね。そうすると、運転手さんは最初に指定した場所で待っていて、こちらは別の場所にいる。お互いに相手を探すことになります🐼
呼んだあとは、その場を動かない。 これが地味にいちばん効く注意点です。もし移動してしまったら、探し合うより、アプリで迎えに来る場所を修正するほうが早く解決します。
②-3 言語表示の実際|アプリは英語にできる。運転手とのやり取りは別の話
「アプリが全部中国語だったらどうしよう」という不安はよく聞きます。ここは安心してよくて、アプリの表示は英語に切り替えられます。(メニューの [Me] → [Settings] から変更できます。2026年8月時点)
ただし、正直に書いておきたいことがあります。アプリが英語になることと、運転手と言葉が通じることは、別の話です。運転手には電話とメッセージで連絡できますが、相手は中国語で返してきます。
なので、中国語がわからない方の現実的な答えはこうなります。
中国語がわからない場合の現実解
・行き先は乗る前に地図で確定させておく(これができていれば、会話はほぼ発生しません)
・待ち合わせ場所も先に修正しておく(電話がかかってくる原因のほとんどがこれです)
・それでも連絡が必要になったら、翻訳アプリを別に開いて対応する
⚠️ ここで、ひとつ注意を書いておきます。日本国内で使える同名の配車アプリと、中国で使うアプリは別のサービスです。日本語で検索すると「メッセージが自動翻訳される」といった説明が出てくることがありますが、それは日本国内向けのサービスの話であることが多いです。
②-4 乗る前と降りるとき|ナンバーを照合する、それだけ
最後に、乗る瞬間の話です。やることは1つだけです。
アプリに表示された車のナンバーと、目の前に来た車のナンバーを見比べる。
配車が集中する場所(空港・駅・イベント会場)では、同じような車が何台も並びます。運転手が窓を開けて手招きしてくれることもありますが、それが自分の呼んだ車とは限りません。ナンバーの下4桁だけでも見る癖をつけておくと、乗り間違いはまず起きません。
降りるときは、何もしなくて大丈夫です。支払いはアプリの中で自動的に終わるので、財布を出す必要も、お釣りのやり取りもありません。「谢谢(シェシェ/xièxie)」と言って降りれば終わりです。
ただし、会社に経費で出す領収書が必要な方だけは、ここで少し事情が変わります。 その話は、このあとタクシーのところで詳しく書きます。
この章のまとめ
・配車アプリは現金が使えない。決済を先に通しておくのが最優先
・迎えに来る場所のピンは「建物」でなく「自分が立って待てる出入口」に置く
・呼んだあとは動かない。動いてしまったらアプリで場所を修正する
・アプリの表示は英語にできる。ただし運転手は中国語なので、会話が起きない状態を作る
・乗る前にナンバーを照合する。降りるときは支払い不要
③ 地下鉄|料金・改札の通り方・安検・ラッシュの避け方
配車アプリが「迷わない移動」だとすると、地下鉄は「安くて時間が読める移動」です。
上海の地下鉄は路線が20を超えていて、観光でも生活でも、行きたい場所のかなりの範囲を駅からの徒歩でカバーできます。しかも初乗り3元(約70円)ですから、1日に何度乗っても財布が痛みません。
ただし、日本の電車と同じ感覚で改札に向かうと、「あれ、こんなの日本になかったぞ」という場面が3つ出てきます。支払い方法の多さ、駅の入口にある荷物検査、そして出口の数です。順番に見ていきます。
③-1 料金と支払い|切符・交通カード・QR・タッチ決済の使い分け
料金は距離で決まります。初乗り3元(約70円)で、観光でよく行く範囲なら3〜9元(約70〜220円)くらいです。
支払い方法は、大きく4つあります。多く見えますが、自分に当てはまる1つだけ選べば十分です。
| 支払い方法 | 何を用意する | こんな人に |
|---|---|---|
| QRコード乗車 | アリペイ/ウィーチャットペイ、または Metro大都会(メトロ大都会/Metro Dàdūhuì) | 短期の旅行・出張。決済アプリはどのみち入れるので、追加の手間がゼロ |
| 交通カード | 駅の窓口や券売機でカードを買ってチャージ | 家族で来る方・スマホを使わせたくないお子さん。バスとの乗り継ぎ割引もある |
| 切符(片道・一日・三日) | 券売機で購入 | スマホ決済を使わない方、1日で乗り倒す方 |
| タッチ決済のクレジットカード | 対応ブランドのカード | カードだけで通したい方(対応カードは限られます) |
なかでも、交通カードには地味に嬉しい特典があります。 交通カードで地下鉄の改札を出てから120分以内にバスに乗る(またはその逆)と、1元割引になります。
そして在住者の実感として書いておくと、最近はスマホのアプリがいちばん楽です。 ぼくもいまは「Metro大都会」を使っています。地下鉄の会社が出している公式アプリで、画面のQRコードを改札にかざすだけ。カードを財布から出す動作すら要らないので、慣れると戻れません。
👉 タッチ決済に対応するカードをどう選ぶかは 上海旅行クレジットカード3選|上海歴20年が厳選 に書いています。
③-2 安検(アンジェン/ānjiǎn)|駅に入るときに荷物検査があります
これは日本の地下鉄にない仕組みなので、最初は必ず面食らいます。
上海の地下鉄は、すべての駅で、改札の手前に荷物検査(安検/アンジェン/ānjiǎn)があります。 カバンをベルトコンベアに乗せてX線を通し、人は金属探知機のゲートをくぐります。空港の保安検査を、ぐっと簡略にしたものだと思ってください。
とはいえ、身構えるほどのものではありません。
・小さなカバンなら、中を見せるだけで通してくれることもあります
・靴を脱いだり、ノートパソコンを出したりする必要はありません
・大きなスーツケースは、コンベアに乗せます
気をつけるのは「時間」だけです。改札に着いてからさらにひと手間かかるので、乗り換えや待ち合わせの時間は、日本の感覚より数分多めに見ておくと安心です。とくに朝の通勤時間帯は、この検査の前に列ができます。
③-3 ラッシュの避け方|「上海だから空いている」ということはありません
ここは、はっきり書いておきたいところです。
上海の朝夕の地下鉄は、日本の通勤ラッシュとほとんど変わりません。 「海外だからのんびりしているだろう」と思って乗ると、そのまま日本と同じ思いをします。
ぼくは通勤の時間帯そのものを避けるようにしています。少し時間をずらすだけで、同じ路線がまったく別の乗り物みたいに快適になるんですよね。
避け方はシンプルで、時間をずらすことに尽きます。
ラッシュを避ける3つの考え方
・時間をずらす……朝夕の通勤帯を外せるなら、それがいちばん効きます
・荷物の日は乗らない……スーツケースを持ってラッシュに突っ込むと、本人も周りもつらいです
・急ぐ日は配車アプリに切り替える……渋滞のリスクはありますが、座って移動できます
観光で来る方は、そもそも朝夕のピークに動く必要がないことが多いので、この点はあまり心配しなくて大丈夫です。むしろ気をつけたいのは、朝いちばんの便で空港へ向かう日のように、荷物とラッシュが重なるときです。
③-4 出口番号|「駅に着いた」と「目的地に着いた」は別ものです
上海の地下鉄でいちばん体力を削られるのが、実はここです。
上海の駅は、出口が10個以上あることも珍しくありません。 大きな交差点の四隅と、その先のビルにまで出口が伸びていたりします。つまり、出口を1つ間違えると、地上に出てから大きく回り道をすることになります。
しかも上海の道路は幅が広く、横断歩道が近くにあるとは限りません。「向かい側に見えているのに、渡れない」という状況が普通に起きます。
対策は1つだけです。地下鉄に乗る前に、地図アプリで「何番出口か」を確認しておく。
ぼくも、乗る前に必ず出口番号を見るようにしています。これをやっているかどうかで、到着してからの数分がまるごと変わります。慣れている在住者ほど、乗る前に出口番号を見ています。
この章のまとめ
・初乗り3元(約70円)。支払いは4通りあるが、自分に合う1つを選べば十分
・短期滞在ならQRコード乗車、長く住むなら交通カードかMetro大都会が楽
・駅に入るときに荷物検査がある。時間を数分多めに見ておく
・朝夕のラッシュは日本と同じ。時間をずらすのがいちばん効く
・乗る前に出口番号を確認する。上海の駅は出口が10個以上あることもある
④ タクシー|どこで拾うか・行き先の伝え方・降りるときの話
配車アプリがあれば、正直タクシーは要らない——ほとんどの場面ではそうです。
それでもタクシーの章を独立して置いたのは、タクシーにしかできない仕事が、いまでもはっきり残っているからです。ひとつは「スマホが使えない状況」、もうひとつは「紙の領収書が要る場面」です。
④-1 どこで拾えるか|「道で手を挙げる」以外の選択肢を持っておく
先に書いたとおり、上海では道で手を挙げてもタクシーはなかなか止まりません。ただ、これは「タクシーに乗れない」という意味ではありません。乗れる場所が決まっている、というだけの話です。
タクシーに乗れる場所
・空港のタクシー乗り場……到着ロビーから案内に従って進むと、係員が並ばせてくれます
・鉄道駅の乗り場……上海駅・虹橋駅などは専用の乗り場があります
・大きなホテルの車寄せ……ドアマンが呼んでくれることがあります
・大型の商業施設の出入口……客待ちの車が並んでいることがあります
逆に言うと、この4つ以外の場所では、素直にアプリで呼んだほうが早いです。とくに雨の日は、道端で粘っても消耗するだけになります。
ぼくがいま流しのタクシーに乗るのは、空港や駅の乗り場に並ぶときくらいです。それでも、スマホが使えないときの保険としてタクシーを覚えておくのは、けっこう大事です。到着直後に通信が繋がらない、バッテリーが切れた、アプリの決済が通らない——上海ではどれも起こりえます。そのとき、乗り場に並べば乗れる、という選択肢があるだけで気持ちがまるで違います。
④-2 行き先の伝え方|口で言わずに、画面を見せる
タクシーで唯一むずかしいのが、ここです。配車アプリと違って、行き先を自分で伝えないといけません。
日本語はまず通じません。英語も、期待しないほうがいいです。では中国語で言えばいいかというと、これも思ったより難しくて、地名の発音が少し違うだけで伝わりません。
なので、順番はこうなります。
行き先の伝え方(上から順に試す)
① スマホの地図アプリで目的地を出して、画面を見せる……いちばん確実です
② ホテルのカード・住所を書いたメモを見せる……ホテルに戻るときはこれが最強です
③ 運転手さんの携帯に、自分で入力させてもらう……下記
④ 中国語で言う……発音に自信がある方だけ
3つめが、意外と知られていない方法です。ぼくも使うことがあるのですが、運転手さんに携帯を渡してもらって、行き先を自分で打ち込んでしまう手もあります。中国語の漢字さえ入れば、あとは向こうのナビが案内してくれるので、こちらの発音は関係なくなります。
「他人の携帯を触らせてもらうなんて」と思うかもしれませんが、上海ではそれほど珍しい光景ではありません。 お互いに困っているので、たいてい素直に渡してくれます。
⚠️ 注意点として、目的地の漢字(中国語表記)を先に控えておくと、この方法がぐっと使いやすくなります。日本語の地名をそのまま入れても出てこないので、行きたい場所の中国語名をスクリーンショットで持っておくのがおすすめです。
④-3 降りるときの話|支払いと、経費精算で効いてくる「紙の領収書」
降りるときの支払いは、アリペイかウィーチャットペイのQRコードが主流です。運転手さんが端末を差し出すので、読み取って払います。現金も使えますが、お釣りが足りないことがあるので、あまり大きな紙幣は出さないほうが無難です。深夜の時間帯は割増料金になります。
さて、ここからがこの記事でいちばん実務的な話です。出張などで会社に経費精算をする方は、タクシーと配車アプリで扱いが変わります。
| 乗った手段 | 領収書のかたち | 経費精算のとき |
|---|---|---|
| タクシー | 紙の発票(ファーピャオ/fāpiào)がその場で出る | そのまま提出できる。いちばん楽 |
| 配車アプリの一般車両 (快車/クァイチャー/kuàichē) |
電子データ(アプリの中で発行手続きをする) | 発行・ダウンロード・印刷などひと手間かかる |

ぼくもふだんは配車アプリのほうが圧倒的に楽なんですが、経費で落とす移動だけは事情が変わります。電子の領収書は、あとから発行の操作をしないといけないので、正直めんどうなんですよね🐼
これを知っているかどうかで、出張から帰ったあとの作業量が変わります。対策はシンプルです。
経費精算がある移動のとき
・紙の領収書が要るなら、タクシーを選ぶ(乗り場を使えば確実に乗れます)
・配車アプリを使うなら、降りたその場でアプリから領収書の発行手続きをしておく
(あとでまとめてやろうとすると、どの移動だったか分からなくなります)
👉 出張まわりの準備は 中国出張の準備はこれだけ|通信・決済・持ち物を4ステップで にまとめています。
この章のまとめ
・道で手を挙げるより、乗り場(空港・駅・ホテル・商業施設)を使う
・タクシーは「スマホが使えないときの保険」として覚えておく価値がある
・行き先は口で言わず、地図の画面を見せる。それでも通じなければ運転手の携帯に入力させてもらう
・目的地の中国語表記をスクショで持っておくと、伝え方の選択肢が増える
・経費精算があるならタクシー。配車アプリなら降りたその場で領収書の発行を
⑤ 空港から市内へ|結論は「荷物の量」で決まります
上海の移動でいちばん最初にやってくるのが、この場面です。飛行機を降りて、荷物を受け取って、さあ街へ——どうやって出るか。
ここは選択肢が4つあって、しかも「安い」「速い」「楽」がきれいに分かれるので、迷いやすいところです。先に結論を言ってしまいます。判断の軸は、料金でも所要時間でもなく「荷物の量」です。
ぼくも家族も、結局タクシーで市内に出ています。日本のタクシーに比べればずっと安いですし、なにより荷物が多い日は、これ以外の選択肢が現実的じゃないんですよね。ぼくの実感では、スーツケースを持って乗り換えるのは想像の3倍つらいです。逆に、身軽な一人旅なら地下鉄でまったく問題ありません。
⑤-1 浦東(プードン/Pǔdōng)空港から|4つの手段を並べて比べる
日本からの便の多くが着くのが、浦東国際空港です。市内までは距離があるので、手段によって差が大きく出ます。
| 手段 | 所要時間の目安 | 料金の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 🚕 タクシー/配車アプリ | 45〜60分 | 150〜220元 (約3,600〜5,300円) |
荷物が多い方・家族連れ・深夜着 |
| 🚄 リニア(磁浮/Cífú) | 8〜10分 +乗り換え |
50元 (約1,200円) |
一度は乗ってみたい方 |
| 🚇 地下鉄2号線 | 60〜70分 | 8元 (約190円) |
身軽な一人旅・とにかく安く |
| 🚌 エアポートバス | 60〜90分 | 30元 (約720円) |
行き先がバスの停留所に近い方 |
見ていただくと分かるとおり、タクシーだけが「玄関から玄関まで」運んでくれます。 他の3つは、降りたあとにもうひと移動あります。この差が、荷物を持っているときに効いてきます。
料金は確かに一番高いのですが、日本の空港からのタクシーを思えば、かなり安いほうです。 家族4人で分ければ、なおさら気になりません。
もうひとつ、表に載せなかった選択肢があります。
事前予約の空港送迎(貸切チャーター)です。日本にいるうちにネットで予約しておくと、到着ロビーで名前を書いたボードを持った運転手さんが待っていてくれる、というものです。
表に入れなかったのは、これが「その場で選べる手段ではない」からです。ただ、条件がそろうと、タクシーより安くなることがあります。
| 🚕 タクシー/配車アプリ | 📋 事前予約の送迎 | |
|---|---|---|
| 料金の目安 | 150〜220元 (約3,600〜5,300円) |
2,881円〜 |
| 予約 | 不要 | 必要 (3日前まで無料キャンセル可) |
| 行き先を伝える | 画面を見せる必要あり | 予約時に確定済み=不要 |
| 深夜着 | 待つことがある | 到着時刻を指定して 待ってもらえる |
④で「行き先をどう伝えるか」に1章まるごと使いました。事前予約の送迎は、その手間がまるごと消えます。予約の時点で降車先が確定しているからです。
⚠️ 誤解のないように書いておくと、ふだんの移動でこれを使う必要はありません。タクシーで十分です。効いてくるのは「荷物が多い × 初めての上海 × 深夜着 × 家族連れ」が重なったときだけです。
⑤-2 「リニアで8分」の読み方|龍陽路(ロンヤンルー/Lóngyáng lù)から先があります
浦東空港の名物といえば、リニア(磁浮/Cífú)です。最高速度430km/hで、8分で走り抜けます。ガイドブックにも必ず出てきますし、体験としては本当に面白いです。
ただ、「空港から市内まで8分」だと思って乗ると、少し話が違います。
リニアが着くのは 龍陽路(ロンヤンルー/Lóngyáng lù) という駅で、ここは市内の中心部ではありません。人民広場や南京西路、静安寺といった、旅行者がホテルを取る場所へ行くには、そこから地下鉄に乗り換えることになります。
数字にすると、リニアで市内中心部まで行く場合、乗り換えを含めて1時間近くかかります。 タクシーと大きくは変わりません。しかも、その乗り換えをスーツケースを持って歩くことになります。
だからといって「乗らないほうがいい」とは思いません。乗る目的が違うだけです。
リニアとの付き合い方
・乗ってみたいなら、乗る価値はあります。430km/hはなかなか体験できません
・ただし移動手段として選ぶなら、乗り換え時間まで込みで考える
・荷物が少なく、龍陽路の近くに用があるなら、素直に速いです
⑤-3 虹橋(ホンチャオ/Hóngqiáo)空港から|市内が近いぶん、選択はシンプルです
もうひとつの空港、虹橋空港は、市内にぐっと近い場所にあります。日本からだと羽田便が着くことがあり、国内線の乗り継ぎでも使います。近いぶん、選択はとても単純です。
| 手段 | 所要時間の目安 | 料金の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 🚕 タクシー/配車アプリ | 約20分 | 60〜100元 (約1,400〜2,400円) |
浦東の半分以下。荷物があるならこれで十分 |
| 🚇 地下鉄2号線/10号線 | 約30分 | 4〜7元 (約100〜170円) |
安い。身軽ならこちらでも |
| 🚄 高鉄(新幹線) | 徒歩5分で 乗り換え |
路線による | そのまま他都市へ出張する方 |
虹橋の強みは、タクシーでも安く済むことです。浦東から市内へ出るより、虹橋からのほうが半分以下で着きます。「荷物があるならタクシー」という判断が、いちばん気楽にできる空港です。
そしてもうひとつ、虹橋には高鉄(新幹線)の駅が隣接しています。上海に降りてそのまま他の都市へ向かう出張なら、虹橋着を選ぶだけで移動がまるごと省けます。
👉 そもそも「浦東と虹橋、どちらの空港を選ぶか」は 上海空港 浦東 vs 虹橋 どっちが便利? で、便の選び方から解説しています。
この章のまとめ
・空港からの移動は、料金でも速さでもなく「荷物の量」で決める
・浦東空港は市内まで距離がある。荷物が多いならタクシー、身軽なら地下鉄2号線
・リニアの「8分」は龍陽路まで。中心部までは乗り換え込みで1時間近くかかる
・虹橋空港は市内が近く、タクシーでも浦東の半分以下で着く
・虹橋には高鉄の駅が隣接。他都市へ抜ける出張なら虹橋着が圧倒的に楽
・荷物が多い×深夜着×家族連れが重なるなら、事前予約の送迎という5つ目の選択肢もある
⑥ 【保存版】場面別の選び方と、覚えておきたい中国語
ここまで3つの手段を見てきましたが、実際に上海で動くときに考えるのは「配車アプリとは何か」ではありません。「いま、この状況で、どれに乗るか」です。
なので最後に、場面から引ける形にまとめておきます。ここだけスクリーンショットを撮っておけば、現地で迷ったときに使えます。
⑥-1 場面別の早見表|迷ったらここから引いてください
| こんなとき | 選ぶのは | 理由 |
|---|---|---|
| 空港に着いた・荷物が多い | タクシー/配車アプリ | 玄関から玄関まで運んでくれる。乗り換えでスーツケースを持ち上げなくていい |
| 朝夕の通勤時間帯 | 地下鉄は避ける | 日本のラッシュと変わりません。時間をずらせないなら配車アプリへ |
| 街なかで移動したい | 配車アプリ | 道で手を挙げても、いまはほとんど止まりません |
| 雨が降っている | 配車アプリ | 道端で粘るより、屋根の下で待って呼ぶほうが結局早いです |
| 経費精算がある移動 | タクシー | 紙の領収書がその場で出る。配車アプリは電子であとから手続きが要る |
| 子ども連れ・ベビーカー | タクシー/配車アプリ | 荷物と同じ理屈です。階段と乗り換えの回数が、そのまま負担になります |
| とにかく安く済ませたい | 地下鉄 | 初乗り3元。身軽な日はこれで十分です |
| 時間を正確に読みたい | 地下鉄 | 上海の道路は時間帯で渋滞します。渋滞のない乗り物は強いです |
| 夜おそくなりそう | 先に終電を調べる | 下記のとおり、日本の感覚より早く終わります |
| スマホが使えない | タクシー乗り場へ | 通信・電池・決済のどれかが落ちても、乗り場に並べば乗れます |
「夜おそくなりそう」だけ、少し補足しておきます。
上海の地下鉄の終電は、おおむね22時半〜23時半ごろです(路線によって違います)。日本の終電の感覚でいると、思ったより早く終わってしまいます。
ただし、金曜・土曜・祝日の前日は、主要な路線で終電が延長されることがあります。夜に予定を入れる日は、乗る駅の終電時刻を先に見ておくと安心です。終電を逃しても配車アプリで帰れますが、深夜は割増になります。
👉 観光の回り方に落とし込んだ形は 上海観光 2泊3日モデルコース|在住者が教える効率の回り方 をどうぞ。実際の1日の動きに沿って書いています。
⑥-2 これだけ覚えておけば足りる中国語
正直に言うと、配車アプリを使うなら中国語はほぼ要りません。 行き先を地図で指定してしまえば、会話が発生しないからです。
それでも、この7つだけ知っていると、流しのタクシーに乗るときと、地下鉄で迷ったときに効きます。読み方はカタカナで十分通じます。
| 中国語 | 読み方 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 去这里 | チュイ ヂョーリー /Qù zhèlǐ |
ここへ行ってください | スマホの画面を見せながら。これが最強です |
| 请打表 | チン ダービャオ /Qǐng dǎ biǎo |
メーターでお願いします | 流しのタクシーに乗ったとき |
| 停一下 | ティン イーシア /Tíng yíxià |
ここで止めてください | 降りたい場所に来たとき |
| 多少钱? | ドゥオシャオ チエン /Duōshao qián |
いくらですか | 現金で払うとき |
| 要发票 | ヤオ ファーピャオ /Yào fāpiào |
領収書をください | 経費精算があるとき |
| 几号出口? | ジーハオ チューコウ /Jǐ hào chūkǒu |
何番出口ですか | 地下鉄で迷ったとき |
| 谢谢 | シェシェ /Xièxie |
ありがとう | 降りるとき |

ぼくの実感では、このなかで本当に効くのは最初の「去这里(チュイ ヂョーリー)」ひとつです。画面を見せながらこれを言うだけで、発音が多少あやしくても、行き先は確実に伝わりますからね🐼
⚠️ ひとつだけ気をつけたいのが、発音が違うと本当に通じないことです。中国語は声調(音の上げ下げ)で意味が変わるので、地名を口で言うのはおすすめしません。言葉は「お願いする」ためだけに使い、行き先は必ず画面で示す。 これが、いちばん失敗しない組み立てです。
この章のまとめ
・上海の移動は「手段を覚える」より「場面から引く」ほうが速く決まります
・迷ったときの初期設定は、荷物があれば配車アプリ、身軽なら地下鉄
・中国語は行き先を伝えるためではなく、お願いをするために使う
・行き先は口で言わず、必ず画面で見せる
⑦ よくある質問(FAQ)
- Q中国語がまったく話せなくても、上海で移動できますか?
- A
できます。いちばん使う配車アプリは、行き先を地図の上でタップして指定するので、そもそも会話が発生しません。地下鉄も、券売機と改札の操作だけで乗れます。
唯一むずかしいのが流しのタクシーですが、これもスマホの地図を見せれば伝わります。声に出して伝えようとすると、中国語は音の上げ下げで意味が変わるので、かえって通じません。「言葉で伝える」より「画面で見せる」に切り替えるのが、いちばん確実です。
- Q交通カードは買ったほうがいいですか?
- A
短期の旅行なら、買わなくて大丈夫です。アリペイやウィーチャットペイのQRコードで地下鉄に乗れるので、どのみち入れる決済アプリだけで足ります。
一方で、買う価値があるのはこんな方です。
・長く滞在する方(財布から出すだけなので、スマホの電池を気にしなくていい)
・お子さんに持たせたい方(スマホを預けずに移動させられます)
・バスも使う方(交通カードなら、地下鉄とバスの乗り継ぎが120分以内で1元割引になります)
- Q配車アプリとタクシー、結局どちらが安いですか?
- A
同じ距離なら、大きくは変わりません。配車アプリで呼んでも、来るのがメーターのタクシーであることもあるからです。
差が出るのは、次の3点です。
・深夜の時間帯……どちらも割増になります
・混雑しているとき……配車アプリは需要に応じて料金が上がることがあります
・領収書のかたち……ここがいちばん実務に効きますなので、「どちらが安いか」で選ぶより、「紙の領収書が要るかどうか」で選ぶほうが、結果的に得をします。経費精算があるならタクシー、それ以外は配車アプリ、というのが素直な整理です。
- Q深夜に空港に着いたときは、どうすればいいですか?
- A
地下鉄は終わっている可能性が高いので、タクシー乗り場か配車アプリになります。上海の地下鉄の終電はおおむね22時半〜23時半ごろ(路線によります)なので、深夜着の便だとまず間に合いません。
深夜料金の割増はつきますが、空港のタクシー乗り場は深夜でも動いています。並べば乗れる、という安心感は大きいです。
⚠️ ひとつだけ先に手を打っておいてください。配車アプリは決済が通っていないと車を呼べません。深夜着の方はとくに、日本にいるうちに決済を通しておくことをおすすめします。着いてから登録しようとして、真夜中の空港でうまくいかないと、かなり心細くなります。
- Q配車アプリで車が来ない・運転手から電話がかかってきたときは?
- A
ほとんどが「待ち合わせ場所のズレ」です。まず、車を呼んだあとに自分が移動していないか思い出してください。少し歩いただけでも、運転手は最初に指定された場所で待っています。
対処はこの順番です。
① アプリで迎えに来る場所を修正する(自分がいま立っている場所に合わせる)
② 動いてしまっていたなら、最初に指定した場所へ戻る
③ それでも合流できなければ、キャンセルして呼び直す電話は中国語でかかってきます。無理に話そうとするより、画面で場所を直すほうが早く解決します。相手も「場所が分からない」と伝えたいだけなので、位置が合えばそれで終わります🐼

